孤立への潜行。Hilleberg Souloという一人用の「繭」。

孤立への潜行。Hilleberg Souloという一人用の「繭」。
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風が鳴っている。

気温は氷点下。吹き晒しの尾根。木々は暴れるように揺れ、時折ゴォォという地鳴りのような唸り声が谷底から這い上がってくる。こんな場所には、人間の居場所などどこにもない。自然の剥き出しの暴力が、有無を言わさずすべてを薙ぎ払おうとしている。

僕は、かじかむ指先でペグを地面に叩き込みながら、自分がどれほどちっぽけな存在かを思い知っていた。立っていることすらままならない突風の中で、僕が一晩の生存を託すシェルターは、わずか一枚の薄いナイロン生地だった。

だが、その生地はただの布ではない。それは、僕が外界との境界線を引くための、絶対的な「拒絶」の壁だ。

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赤いドームという名の「要塞」

Hilleberg Soulo(ヒルバーグ ソウロ)。

自立式のシングルバーナードームテント。ペグダウンすら不要で、3本のポールをスリーブに通すだけで、風の力を受け流す完全なドーム構造が立ち上がる。Kerlon(ケルロン)と呼ばれる引き裂き強度の異常に高いシリコンコーティング・ナイロンは、突風を受けて大きくしなるが、決して破断しない。自然の力をまともに受け止めるのではなく、柳のようにいなす設計思想。

最後のジッパーを引き下ろす。バリバリというベルクロの音とともに、入り口が完全に塞がれる。

――瞬間、世界から音が消える。

外では相変わらず暴風が吹き荒れているはずだ。テントの生地はパンパンと乾いた音を立てて風に叩かれ、ポールが軋む音が鳴っている。しかし、僕の耳には、先ほどまでの「死の恐怖」を感じさせるノイズは届かない。赤いナイロンを一枚隔てただけで、そこは信じられないほど静かで、そして暖かい「僕だけの空間」へと変異したのだ。

孤独を飼いいならすための結界

僕は、寝袋にくるまり、ヘッドライトの明かりだけを頼りに膝を抱えた。

一人用のテントの中は、身動きを取るのすら不自由なほど狭い。天井に頭がつきそうだ。しかし、この「狭さ」こそが、底知れぬ安心感を生み出している。広すぎる空間は、人間を不安にさせる。手の届く範囲にすべての道具があり、自分の体温がテント内の空気を僅かに温めていくのを感じる。

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この重さが、僕を地面に留める。

もう一度、その重さを感じる。外界から完全に隔離され、たった一人で狭い空間に閉じこもる。それは、社会というネットワークから自らを物理的に切断し、意図的に「孤立」を選ぶ行為だ。誰の声も届かない。誰の視線もない。スマートフォンは圏外。あるのは、風の音と、自分の呼吸音、そしてランタンのわずかな熱だけ。

胸の奥が熱くなる。喉が詰まるような、不思議な感覚。なぜ、こんなにも厳しい環境にわざわざ赴き、薄っぺらい布の中で眠ろうとするのか。僕は、何を求めていたんだろう。

重さは、重力じゃない。それは、僕が今、自分自身の内面と対峙しているという、存在の証明だ。

日常の中で、僕たちは常に誰かと繋がり、情報に晒されている。本当の「孤独」を味わう機会など、ほとんどない。だからこそ、僕は定期的に一人きりになり、絶対的な孤立の底へと潜行する必要がある。ノイズを遮断し、自分自身の心臓の音だけを聞き取るために。

Hilleberg Souloは、ただのテントではない。それは、世界から僕を隠し、吹き荒れる現実の風から魂を守ってくれる、赤く小さな「繭(コクーン)」なのだ。

風の音は、いつしか僕を眠りに誘う子守唄に変わっていた。明日の朝、この繭を破って外に出た時、僕はきっと、新しい呼吸を手に入れているはずだ。


物語の舞台に在るもの

風を遮り、孤独を飼い慣らす赤い繭。


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森で会おう。

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