切りっぱなしの潔さ。
タオルには端っこ(ヘム)がある。
でも、手ぬぐいにはない。
ただの布が、そこでプッツリと終わっている。
だから乾きが早い。
雑菌が溜まらない。
そして何より、手で裂くことができる。
怪我をした時の包帯になり、鼻緒が切れた時の紐になる。
この「未完成」な感じがいい。
使い方はお前が決めるんだ、と試されている気がする。
Scene: ポケットの中の万能
僕はハンカチを持たない。
いつも手ぬぐいを一枚、ポケットに突っ込んでいる。
汗を拭く。
洗った手を拭く。
日差しが強ければ頭に巻く。
寒い時は首に巻く。
温泉に行けば身体を洗う。
物を包んで運ぶ。
たった一枚の布が、状況に合わせてカメレオンのように役割を変える。
薄いから、すぐに乾く。
旅先で洗濯しても、一時間あればまた使える。
この機動力(Mobility)。
Feeling: 育てる布
新品の手ぬぐいは硬くて頼りない。
でも、一度洗うと少し柔らかくなる。
使い込み、洗い込むほどに、綿の繊維がほぐれて「ふわり」としてくる。
色も少し褪せて、自分の肌に馴染むようになる。
まるでジーンズのように、布を育てる楽しみがある。
端からほつれてくる糸。
それはハサミで切ればいい。
ほつれが止まった時、それは本当に僕のものになる。
完璧な製品なんていらない。
自分の手で完成させていく余地が欲しいんだ。
Root: 日本のミニマリズム
江戸の庶民は、手ぬぐい一枚で何でもしたらしい。
専用の道具を持たず、知恵で補う。
それは現代のミニマリズムにも通じる。
あれもこれもと持ち歩かなくていい。
これ一枚あれば、なんとかなる。
その安心感が、僕の足を軽くする。
柄を選ぶのも楽しい。
今日は「麻の葉」、明日は「青海波」。
季節をポケットに忍ばせて歩く。
森で会おう。