米が立つ。土鍋で炊く飯は、大地からの手紙だ。

米が立つ。土鍋で炊く飯は、大地からの手紙だ。

炊飯器のスイッチを押しても、感動はない。

便利だとは思う。
でも、僕は土鍋で米を炊く。
火加減を見る。
音を聞く。
匂いを嗅ぐ。
五感を総動員して、米という生命と向き合う。
蓋の穴から勢いよく蒸気が吹き出す。
「ちりちり」という音が聞こえたら、お焦げが出来た合図だ。
火を止め、蒸らす。
この静寂の時間こそが、最高のスパイスになる。

Scene: 蓋を開ける瞬間

重い蓋を開ける。
立ち昇る白い湯気。
その向こうに、ピンと立った米粒たちが輝いている。
「銀シャリ」とはよく言ったものだ。
宝石のように光っている。
しゃもじを入れると、底から香ばしい焦げの匂いが広がる。
電気には作れない、直火(Fire)だけの仕事。
一口食べる。
外はしっかり、中はふっくら。
噛むほどに甘みが溢れ出す。
おかずなんていらない。
塩と、この米があればいい。

Feeling: 土と火と水

土鍋は「土」だ。
米は「水」を吸い、「火」の力で変わる。
そこにあるのは自然の要素(Elements)だけ。
単純な原理だからこそ、嘘がつけない。
水加減を間違えれば失敗する。
火を消すのが遅れれば焦げる。
でも、その失敗すらも楽しい。
「今日は少し固めだったな」「次は浸水時間を長くしよう」。
毎日、米と対話する。
ボタン一つで同じ結果が出る機械にはない、有機的な繋がり。

Root: 食べることは生きること

面倒くさい、と言う人もいるだろう。
でも、食べるものを作るのに手間を惜しんで、他に何に時間を使うんだ?
自分の身体を作る食事だ。
そのプロセスに参加したい。
土鍋を洗う時、少し丁寧になる。
割らないように、優しく。
その手の動きが、僕の荒れた心を整えてくれる。
手間を食べる。
時間を食べる。
それが一番の贅沢だと、僕は思う。

森で会おう。