傷は「味」になる。古びたコーヒーミルの手入れ。☕️

Unnamed

僕のデスクの片隅には、いつも古いコーヒーミルが置いてある。
もう何十年も前の、ドイツ製のヴィンテージだ。

塗装は剥げ、ハンドルには無数の傷がついている。
新品の頃の輝きはもうない。
だが、僕は今のこの姿の方が、ずっと美しいと思う。

この傷の一つ一つに、誰かの「時間」が刻まれているからだ。
朝、眠い目をこすりながら豆を挽いた日。
大切な人と語らいながらコーヒーを淹れた日。
一人、悩みながらハンドルを回した夜。

道具は、使い手と共に歳を重ねる。
傷つくことは、損なわれることではない。
それは、歴史という名の深みを増す過程なのだ。

今日は久しぶりに、このミルを分解して掃除をした。
古い油を拭き取り、ブラシで粉を落とす。
単純な作業だが、心を整えるには丁度いい。

組み立て直し、ハンドルを回してみる。
ゴリゴリという重厚な感触が、手に伝わってくる。
まだ現役だ。

僕たち人間も同じかもしれない。
失敗し、傷つき、古びていく。
だが、手入れを怠らなければ、その傷さえも魅力に変えることができる。
「味」のある人間になりたいと、僕は思う。

淹れたてのコーヒーの香りが、部屋に満ちてきた。
さて、仕事を始めようか。

木製だけど簡単に味が手に入るこれもいいかもしれない。