遠い風の匂いを運ぶ、一欠片のチョコレート
冬の夜、薪ストーブの火を眺めながら温かい飲み物をいただく時間は、僕にとってかけがえのない安らぎです。傍らには、一欠片のチョコレート。その甘く、少しほろ苦い香りは、ふとした瞬間に僕を遠い異国の土へと連れて行ってくれます。
僕たちが手にするこの小さな幸せの裏側で、遠いガーナの地では、小さな手がカカオを運び、土にまみれて働いている現実があります。13人に1人。その数字の重みを噛みしめると、チョコレートの味は少しだけ、切ないものに変わります。
奪われた「子ども時代」という、取り戻せない時間
ゴットフレッドさんという青年の物語を読みました。彼はかつて、カカオ農園でサソリやヘビに怯えながら、家族を支えるために自分自身を削って働いていました。学びたいという願いを心にしまい込み、重い荷物を運ぶ毎日。それは、命を削るような孤独な闘いだったに違いありません。
「子どもらしくあること」を許されない時間が、世界にはまだ厳然として存在しています。それは、僕たちが守るべきはずの、命の根源的な輝きです。
命の「相棒」として、月々1000円を贈る
認定NPO法人ACEが続けている「子どもの権利サポーター」。それは、お互いの顔は見えなくても、確かに「君」と繋がることができる、ささやかな、けれど力強い絆の形です。
月々1000円。1日にすれば、わずか33円です。その小さな風が、現地では大きな変化となって子どもたちを包みます。ゴットフレッドさんは、この活動を通じて学校へ通い、猛勉強の末に医師を目指す大学生になりました。一人の少年の運命が、誰かの差し出した手によって、暗い農園から光り輝く未来へとリライトされたのです。
分かち合うことで、僕たちの「根」は深くなる
誰かの命の成長を願う。その想いは、実は巡り巡って僕たち自身の心を、豊かに耕してくれます。土が雨を吸い込み、根が深く張るように。分かち合うことでしか得られない、静かな充足感。それが、僕たちが本来持っているはずの「命のつながり」なのだと思います。
カカオの苦みの向こう側に、あの子の笑い声が響く未来。そんな世界を、君と一緒に歩いていけたら。そう願っています。