薄い布一枚で、星空と寝る (Lightweight Tent)

薄い布一枚で、星空と寝る (Lightweight Tent)

今夜の宿は、ナイロンの布一枚。
ペグを打ち、ポールを立ち上げる。
わずか数分で、僕だけの小さな家が完成する。
この心細さがいい。

家の中にいれば、雨も風も、夜の寒さも関係ない。
壁は私たちを守ってくれる。
でも同時に、壁は世界を遮断してしまう。
テントは違う。
風が吹けばバタつき、雨が降ればその音に包まれる。
薄い布一枚を隔てて、僕は世界と添い寝をしている。

シュラフ(寝袋)に潜り込み、入り口のジッパーを少しだけ開けた。
冷たい空気が流れ込み、その向こうに煌めく星空が見えた。
オリオン座が、すぐそこにある。
手を伸ばせば届きそうな距離感。

「おやすみ」

星に向かって言うのか、自分に向かって言うのか。
瞼を閉じると、大地がゆっくりと呼吸しているのを感じた。
僕もまた、その大きな呼吸の一部なのだ。
そう感じた瞬間、深い眠りが訪れた。